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 自宅にWi-Fi(無線LAN)を導入したものの、「遅い」「切れる」といったトラブルに見舞われている読者も少なくないだろう。 トラブル解決の第一歩は、Wi-Fiの電波を「見える化」してみること。 自宅で電波状況が悪くなる原因の絞り込み方を指南する。


 自宅でWi-Fiの電波状況が悪くなる原因は多岐にわたる。まずは原因を絞り込んでいこう(図1)。

 最初に考えたいのが電波干渉。特に2.4GHz帯は電波の“大混雑地帯”だ(図2)。ただでさえ電波の通り道(チャンネル)が少ないうえ、自宅や周辺の家で利用している親機が多いため、チャンネルが空いていないことも珍しくない(図3)。自宅の親機以外のWi-Fiは“ノイズ”と同じ。周囲に親機の数が増えるほどノイズが強くなり、それが原因で自分たちの通信の邪魔をするようになるというわけだ。

図2 Wi-Fiは普及が進み、多くの一般家庭や店舗で利用されている。
その中でも2.4GHz帯は利用者が多く、周囲のWi-Fiルーターで
周波数帯を使い切っていることも多い

図3 2.4GHz 帯には13のチャンネルがある。
親機1台で4チャンネル分使うため、周囲に親機が4台以上あると、
利用するチャンネルが重なり(電波干渉)、遅くなる


■ 家電製品のノイズはアプリでは見えない

 周囲の混雑状況を調べるときは、アンドロイドの無料アプリ「Wi-Fiオーバービュー360」が役立つ(図4)。アプリを起動して「チャンネルレーダー」タブを開くと、周囲にある親機と、使用中のチャンネルを一覧表示してくれる。それぞれSSIDごとの電波強度が放物線で示されるので、重なり具合がわかりやすい。重なっている親機の数が多いほど、お互いの干渉が強いと考えてよい。

図4 「Wi-Fiオーバービュー 360」の「チャンネルレーダー」で
「2.4Ghz」を開くと、周囲にある 2.4GHz 帯の親機を放物線のグラフで確認できる。
「ワイヤレスネットビュー」の場合は、「Channel Number」欄の数値が利用中のチャンネルだ

 パソコン用の「ワイヤレスネットビュー」の場合は、ソフトを起動したら「Channel Number」欄の数値をチェックすればよい。2.4GHz帯では、同じチャンネルだけでなく、隣接するチャンネルを使っている親機が多いときも、干渉が強くなることに注意する必要がある。

 ノイズ源となるのは、周囲にある親機だけではない。実は、電子レンジや多くのコードレス電話、ブルートゥース機器などは、Wi-Fiと同じ2.4GHz帯を使っている(図5)。それらの機器の電源をオンにした途端、接続中のWi-Fiがつながりにくくなるといった現象に悩んでいる人も少なくない。測定アプリでは把握できないので、こうした機器が原因になる可能性も頭に入れておこう。

図5 電子レンジやコードレス電話、ブルートゥースなどのワイヤレス機器
(マウス、キーボード、ヘッドホンなど)も2.4GHz 帯を利用する。
これらが発する電波は測定ソフトやアプリでは確認できないため、
チャンネルに空きがある場合でも電波干渉が起きている可能性がある


■ 鉄の扉を挟むだけで速度は3分の1に

 電波が弱くなる原因としては、壁や家具などの障害物による影響も大きい。紙や木といった素材はWi-Fiの電波を通しやすいが、一方で金属やコンクリートにぶつかると電波が大幅に弱まってしまう(図6)。

図6 Wi-Fi の電波は直進性が強く、壁などの障害物にぶつかると弱まる。
特に金属やコンクリートは電波を通しにくい。
一方で木や紙などはぶつかっても電波が弱まりにくい

 試しに、親機からの距離が同じ2つの地点で、間に鉄の扉がある場合とない場合で電波を測定した(図7)。このケースでは、鉄の扉を挟んだ場合、電波の強さは障害物なしのマイナス34dBmからマイナス75dBmと大幅に落ち込み、速度は3分の1まで下がってしまった。鉄の扉は極端な例だが、障害物によって速度が低下することは明らかだ。

図7 スマホを親機に接続し、間に障害物がない場合の速度と、
途中に鉄の扉を挟んだ場合の最高速度を比較した。
鉄の扉を挟んだ場合は、障害物がない場合に比べて速度が3分の1以下に落ち込んだ
(11ac対応の同じスマホで計測。 A地点とB地点は、親機までの距離は同じ)


 また、親機の設置場所も重要だ。金属製の家具などに囲まれた場所に親機を置くのは避けるべき。スチールラックの中に親機を設置したり、AVラックの中にしまい込んだりすると、発信した時点でかなりの電波が遮られてしまうと考えよう(図8)。

図8 スチールラックやメタルラックの中に親機を設置すると、
親機の電波が外に出にくいため、電波が届きにくくなる。
AVラックの中などに親機を入れるのもやめたほうがよい

 電波環境以外の要因で速度が低下するケースもある。暗号方式の設定が「WEP」や「TKIP」だと、11acや11nに対応する親機に接続しても、実際の通信は11aもしくは11g(どちらも最大54Mbps)になってしまう(図9)。強い電波が届いているのに、速度が極端に遅いといった場合は、暗号方式をチェックしよう(図10)。

図9 計測して速度が極端に遅かった場合、暗号方式の種類が原因である可能性もある。
WEPかTKIPのいずれかの暗号方式だと、どれだけ高性能な親機でも
11g(最大54Mbps)で接続してしまう

図10 暗号方式を調べるにはパソコンのタスクバーのアイコンで、
周囲にある親機のSSIDを一覧表示する(1)。
接続中の親機のSSID にマウスポインターを合わせて現れるポップアップ画面で、
セキュリティと無線の種類を確認できる(2)(3)

(日経PC21 石坂勇三)

(日経PC21 2015年11月号の記事を再構成)

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